2019.9.29(日曜)に六本木で開催された加齢黄斑変性の講演会に参加してきました。加齢黄斑変性という病気は加齢により網膜(眼底)の中心部である黄斑に障害が生じ、見ようとするところが見えにくくなったり、ゆがみが出る病気です。欧米では成人の失明原因の第1位で珍しくない病気ですが、日本でも増加しており、失明原因の第4位となっています。
加齢黄斑変性で眼底にむくみがある時の治療としては、ルセンティス、アイリーアというむくみを取る薬剤を眼内に注射する方法があります。以前は初回治療後に再発し悪くなったら注射を追加する方法(PRN投与)が主流でしたが、視力保護の観点から現在ではTreat&Extend(T&E)投与が主流となっています。T&Eは初回治療後から4週時に注射をし、疾患活動性が消失していれば2週ずつ投与間隔を延長し、悪化があれば2週ずつ投与間隔を短縮し、最大で12(〜16)週に1回まで受診投与間隔を延長していく方法です。またこの注射の治療前に治療の主流だった光線力学療法(PDT)も眼底の所見によっては併用するのが有用とも報告されており、とくにポリープ状脈絡膜血管症や中心性漿液性脈絡網膜症などのPachychoroid関連疾患では注射とPDTを初期から併用すると視力予後が良いと報告されていました。
当院ではルセンティス、アイリーアの注射治療はおこなっておりますが、PDTは施行できないため、適応の患者さまは大学病院と連携して治療に当たって参ります。
*Pachychoroid(パキコロイド)
①眼底写真:脈絡膜血管透見困難
②光干渉断層計(OCT):脈絡膜外層血管の拡張、脈絡膜内層の菲薄化
③インドシアニングリーン造影検査(IA):脈絡膜血管透過性亢進