H30.10.11-有楽町の東京国際フォーラムで開催された第72回日本臨床眼科学会に参加しました。
今年も近視関係の講演を主に拝聴してきました。強度近視は日本で失明原因第五位、中国では第二位と非常に患者数が増え、重症化する方も増えている疾患です。日本でも年々近視の子供は増えておりますが、小児の近視の進行予防には「1日2時間の外遊び」が有効で、従来近視の進行には両親が近視などの遺伝因子とゲームやスマホなどの近業作業による環境因子が原因と言われてきましたが、最近の報告ではバイオレット光を含む太陽光に1日2時間当たって屋外活動を行うことで、両親とも近視の子でも近視の進行が抑制されると言われています。つまり2時間スマホでゲームをしても、その後2時間外遊びで太陽光を浴びたら近視の進行は相殺されるということになります。ゲームをやらないことに越したことはありませんが、これからは「ゲームばかりやらないで。」と子供を叱る代わりに、「ゲームやってもいいけど、日中2時間は外で遊びなさい」と言ったほうが良いかもしれません。ただ外遊びの際にメガネをかけているとメガネをかけていない子の約30%しかバイオレット光が当たらないようで、すでに近視でメガネをかけている子は6時間外遊びとしないとメガネなしの子と同等の効果が得られないと言われています。そこで近視でメガネをかけている子では、夜にコンタクトレンズを装用して、日中は裸眼で過ごせるオルソケラトロジー(ナイトレンズ)を使うと、日中の学校生活も裸眼で過ごせるので、外遊びでバイオレット光に十分に当たることができます。また従来の眼鏡はバイオレット光を遮ってしまうため、バイオレット光を透過させるメガネの開発も進んでおり、近視進行予防にはまだまだ新しい治療やツールが出てくる可能性があると感じました。